管理栄養士国家試験勉強に強くなる(令和版v0.11) 第12回

管理栄養士国家試験の受験勉強のテクニック1

分かっている部分の復習はいらない

 貴方が、試験勉強をしていると、必ず「なんて簡単なんだ!すんなり解けた。」という問題が出てくるはずです。たまたま、自分の知っていた内容や、好きな分野の場合が多く、良い場合は“得意科目” となるのですが、その時感じた「解けることの快感」をいつまでも引きずる人がいます。

 試験科目の中には、今までに聞いた事のない用語や計算式などをどうしても覚えなければいけない場合が多く存在します。これは誰にでも苦痛で嫌な作業となります。
思うように解けず、それでも時間は経過する。非常に苛立ち、焦ります。
 そんな時、それらから逃れるために、すんなり解けた「解けることの快感」問題を何度もくり返し行う人がいます。
 問題をすんなり解ければ、自分がデキル人間だと錯覚します。そして、何度もくり返すことで、非常に試験勉強が進んだように感じ、学習した達成感が体を駆け巡り、爽快感さえ覚えるでしょう。
しかし、これは非常に間違った学習です。
 だから、すんなり解けた問題は、もう二度と復習しなくても、試験で出題されても解けるでしょう。

 そんな問題をくり返し復習するなど、これほど効率の悪い学習はありません。
 つまり、一度解けた問題は、復習しない。これが鉄則です。
難しい問題を数多くこなすことは、非常に苦痛を伴う試験勉強です。しかし、心には残ります。体が覚えます。根気よく何度も理解できるまで解くことが必要です。
そのうち、すんなり解けるようになるでしょう。

忙しい学習と合格は結びつかない

 複数人で仕事をすると、中に全てに首をつっこみ非常に忙しく動く人がいます。
まるで、「皆がしないから、私がしているのよ。」「私でなければ、できないことばかりだから。」といわんばかりに・・・。「手伝いましょうか?」と声をかけると、「大丈夫だから!」の一点張り。皆で分担すれば早く済むことなのに・・・。

学習以外はやらない

 これは学習の面でも言えることである。学習を始めると、異常に几帳面になる人がいます。ノートは、きれいに整理して書かなければ!とか、教科書や参考書に引くラインは、定規を用いたり、必要な部分が載っている書物があれば、コピーすればよいものを、ノートに書き写したり必要以上に気を使い、結局その行為をするだけで満足し、実際の学習には内容が無い場合が多いです。
「あんなに苦労したんだから!」自分では悲劇のヒロインか有能な仕事人気取りですが、実際の結果はさんざんなものです。無駄な作業が多すぎて、本来すべき学習まで手が回っていないのです。

要点集を作成するのは、プロに任せるのが一番である。

 この際だからはっきりしたほうがよい。要点集を作成するのは、プロに任せるのが一番である。
 大切な部分は、太字や赤で記入しているし、第一要領よくまとめられています。要点集はプロに任せる方がよいです。
 なぜなら、本来ノート(自己流要点集)は“これが要点だな”と理解して、はじめて作成に取りかかるものです。それを、素人である受験者は何故か急いで取りかかってしまいます。理解は二の次で、とにかくノートを埋めようと躍起になることが多いです。左に参考書(または要点集)右に白紙のノートを置き、大字や赤で書かれている“重要そうな部分” をそのまま書き写し、時には、図や挿絵まで模写したり、コピーしてノートに貼り付けます。

 しかしこれでは、参考書(または要点集)のコピーです。こんなことをするのなら、要点集をそのまま使えばよいのではないでしょうか?しかも、このノート作成には恐ろしく時間がかかります。これを全科目で行うのですから、考えただけでも恐ろしいです。多分、多くの方は途中で無意味さに気が付いて、数科目で断念するのがオチです。

 効果的なノート作成は、内容を理解して初めて取り掛かれるものです。
少しかじった学習程度では、すばらしいものなど作れるはずがありません。
無意味な苦労は他人に任せて、本来すべき学習を集中的に行うことが、合格への近道です。

時には第三者となる目を

学習にも進む方向がある

学習は、一度要領を得てしまえば、自分でも驚くほど進みます。これが楽しくて、心も体もウキウキし、「どんどん進め!!これで絶対合格できる!」と思ってしまいます。勿論、学習が進むのは非常に良いことです。そのまま理解ができて、知識として蓄積できるのなら合格も可能でしょう。しかし、乗り物と同じように、学習にも進む方向があります。
 一般的に利用者の多い乗用車を例にとりますと、最近の乗用車にはナビゲーションシステムが搭載されている場合が多いですが、一昔前までは、乗車している人が多くの情報をもとに進む方向を導き出していたものです。

 〇〇県の市にある、XXホールに行こう!
そう決めると、〇〇具について知らない場合は、地図を購入して、〇〇県の場所を見つけます。そして自分の現在地から、〇〇県まで行くには、どの道を通っていけば一番近いのか?時間はどれくらいかかるのか?料金はどれくらいかかるのか?などを調べます。さら休憩できる場所や道が複雑で分かりにくい部分など、少し気になる部分のチェックも欠かしません。
そして、へへ市に入ると、何が目印となり、どの道をどう行けば、XXホールに到着できるか?さらに絞り込んで調べるでしょう。そして、XXホールについても調べます。※Xホールは、開館時間と閉館時間、および休館日はどうか?駐車場がどこにあるのか?料金はどれくらいかかるのか?など1つの場所に乗用車で到着するには最低でもこれだけ調べることがあります。これは学習にも同じことが言えます。

管理栄養士の受験科目で例えるなら

 管理栄養士国家試験栄養指導論の“栄養指導の概念”を学習しよう!
そうなると、栄養指導の教科書や要点集、過去問題等を購入して、栄養指導の概念について、調べ、学び、要点を絞り、理解した上で暗記します。これが正しい学習です。
 しかし、学習する行為が楽しくなった人は、今自分がどこを学習しているのか?
それは、大切なことなのか?など深く考えません。つまり、今自分がどこを走っているのか確認せずに、乗用車を進めているドライバーと同じです。もしかしてOO県はとうに通り過ぎたかもしれません。また〇〇県と違う方向に進んでいるかも知れません。XXホールに着いたけれど、本日休館の看板が出ているかもしれません。そんな学習なら無意味なのです。
 
 常に自分の現在地を確認して、学習の方向が間違っていないかを第3者になったつもりで見ることが大切なのです。
そして、方向性が確認できたら、また一生懸命に前進すればよいのです。
学習は感情的になってはいけません。一生懸命さと常に第3者の目になる自分を持つことが必要です

学習書は唯一にならない

私どもでもよく相談を受けます。それは受験のための学習書に着いてです。です。当然、管理栄養士養成施設出身者ではなく、栄養士養成施設出身者からです。

この質問は、回答に非常に困ってしまいます

「学習書はどれくらい購入すればよいのでしょうか?」これだけの質問では非常に困ってしまいます。
まず、
1. 質問者がどれくらい今まで学習してきたか経緯が分かりません。
2. 質問者の実力および、知識が分かりません。
3. 質問者の学習スタイルが分かりません。
4. 質問者が学習にどれくらい時間を使えるのか分かりません。
5. 質問者が学習にどれくらいお金を使えるのか分かりません。

と、反対に上記の5つについて質問者に投げかけたくなります。そして答えようがないのです。
質問とは、「自分の状態がこうであるから、こういう場合はどうすればよいか?」と文章を組み立ててくれないと、適切な解答ができないものです。

基本書は1科目につき一冊です。要点集は、全科目で一冊です。

 ただ、いつも言っているのですが、「数多い学習書を買い漁り、どれも手付かずになるのなら、1冊の学習書を完全に理解できることが大切です。」ということです。
 やみくもに参考書や要点集、過去問題、辞書辞典等を買い漁り、本棚にされいに並べて、これで一安心!みたいな気持ちになる方が非常に多いのです。
 また、これとは逆に1冊(過去問題集)しか学習する書籍を購入せず、それだけで学習しようとする人も非常に多いです。どちらもまったくダメです。
 まず、前者は、書店に行き、書籍を購入するだけで学習をしている気になります。そして自分の本棚に関連書籍を増やすことで、自分の知識も増えていく錯覚に陥っています。勿論、内容はどの書籍の膨大なものですから、全冊を完読し、理解するには非常に時間が必要です。ですから、つまみぐい程度に学習しただけで、見た書籍の多さに満足するのです。「これだけの書籍で学習したんだ。間違いないさ!!」これが間違いです。それは引用に用いただけの学習前の予備作業に過ぎません。
 そして後者は、1冊にこだわりすぎて、その書籍で触れていない部分や、説明で分かりにくい部分のフォローができません。ですから、1つのことを調べるには、数冊の書籍に書かれていることについて比較・検討し、答えを導き出すことが必要です。

これは質問自体が間違っています。

 「OOという本とXxという本では書いていることが違います。これはどちらが正しいのでしょうか?」こういう質問も多いです。
 これは質問自体が間違っています。
 どちらが正しいのかではなく、どうして2冊の本がそういう見解になっているのかを調べ、知るのが貴方の学習になるのです。
 1冊の基本書・参考書を完全に理解するため、多くの書籍を利用して、学習して下さい。
それが適切な学習です。母校の図書館や近くの図書館を活用することも考えてみて下さい。
 それから、過去問題集は数冊あってもいいと思います。割と金額が張るので先に合格した先輩や同級生から譲って貰えばいいでしょう。発売物の出版社が変わると解説内容が変わるので勉強になります。

得意科目の専門家にならない

“解けることの快感”が災いとなる

 現在、全科目で14科目もある管理栄養士国家試験(新ガイドラインでは、9 分類と応用力試験)の中には、非常に自分が行ってきた業務とかけ離れていて得点ができない科目と、もともと好きな分野であったり、その分野の知識が豊富にあり、すんなり得点できる科目があります。

 先にも述べているように、得意科目はやっていても苦痛でないので、どんどん進められます。そして、「○○学なら満点取れる実力があるよ!!」と得意になってしまいがちです。さらに“解けることの快感”も手伝い、飽きることなく勉強し続けて、結果としても得意科目だけはずば抜けて良いことが多いです。

 それも良いことではあるのですが、1つか2つ程度の得意科目をくり返しくり返し学習した時間の分だけ、学習できていない科目がある事を忘れてはいないでしょうか。

苦手科目でも60%以上得点を目標に

 確かに得意科目が多いほど合格には近づけるだろう。しかし、得意科目をくり返し
くり返し学習していると、試験勉強以上の専門的で高度な知識まで学習することになり、しかも吸収できてしまうので、さらにのめりこんで学習をくり返す。
 そうなれば、“専門家的レベル”の知識を保有している自分に自信がついてしまい、他の科目をおろしかにしてしまいます。これでは試験には合格できません。

 管理栄養士国家試験での合格基準は、総合点 60%以上の者です。1つの科目が満点でも合格はできません。そんなことより、全科目において合格最低得点以上をクリアーできることが最も大切なことです。
得意科目の非常に専門的なことは試験では必要ありません。そこまで学習するなら試験勉強時間以外で行うようにすると良いでしょう。そして、苦手科目を苦痛でも60%以上得点できるよう必死で学習することが大切です。

 苦手科目・不得意科目を克服することが合格への近道です。
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