管理栄養士国家試験勉強に強くなる(令和版v0.11) 第16回

力をつける学習方法

過去問題は解答・解説から学習しよう

 管理栄養士国家試験の出題数が150問から200問となってから、令和5年の試験を含めて18回を迎えます。ということは、過去問題の約18回分はある訳で、これを利用することは大切です。全ての回を学習するのは非常に時間のいる作業ですから、ある程度の範囲を絞って行うことが多いのですか、ここで効果的な学習方法があります。
過去問題には必ず模範解答がついています。それを利用するのです。
過去問題を利用する場合、多くの人はいきなり解きにかかります。
3時間以上の時間を使い、実力がついていない状態で行うと、4割程度しか解答できないのがオチです。これは誰でも同じような結果です。
こんな結果が予め分かっていることはしないで下さい。無駄に時間とエネルギーを消費するだけです。

過去問題は、解答・解説を良く読むことから始めましょう

 過去問題は、出版社により、科目別に掲載されているものと、回数ごとに掲載されているものがあります。これはどちらを利用しても良いでしょう。
とにかく、問題に対する解答、特に解説を詳しく読んで、理解することが必要です。
その場合に分からない所が出てきたら、必ず調べて解決して下さい。中途半端にしないことも大切です。

科目ごとの出題傾向が見えてくる

 そして、何年分も解答を見ていると、その科目ごとに出題されている傾向が分かってきます。「あっ、これは共通しているな。」「これは、前にも似たような問題を見たぞ。」
そういう問題が出てきたら、チェックしましょう。そして、自分で分かるようにノートに書き写すなり、コピーして貼り付けるなりして出題頻度の高い過去問題集として使いましょう。

過去問題の使い方は自由自在

 出題頻度の高い箇所が解る非常に役立つ問題集です。この場合もすんなり解けるものに関しては、載っていても、見るのは1回程度に留めましょう。また、逆に出題頻度は低くても、難しい問題があります。これは何度でもくり返し勉強して、理解する努力をしましょう。暗記だけではなく理解することが本当に大切です。
そして、それらが完全にできてからはじめて、今まで学習していない回の過去問題を解いてみましょう。
過去問題は使い方次第で効果的な学習ができる数材です。

専門書や参考書はある程度の実力がついてから使用する

 はじめて管理栄養士国家試験の動強をする人は、まったく試験用の頭をしていません。見るもの全てがはじめて体験するものであり、引っかかりがなく苦労はするでしょう。そんな時“専門”という言葉に惹かれて、専門書を読めばその苦労はさらに加速するものとなります。

専門書は非常に細かな部分まで書かれていて、はっきり言って理解できません

 その道の専門の人が読むものを、何も知らない素人が見るとチンプンカンプンに決まっています。
又、参考書も同様のことがいえます。よくあるパターンが、“説明が難しい”ということです。
ある程度知識をもっている人を対象として説明がされていますので、専門用語や路
語がバンバン出ます。それをいちいち調べていたら非常に時間の無駄です。

専門書は、試験勉強にとって必要な内容と、不必要な内容が混在しています

専門書や参考書は、試験勉強にとって必要な内容と、不必要な内容が混在しています。
「そこまで知らなくてもいいでしょう!」をつっこみたくなる内容も少なくありません。前にも触れましたが、とにかく合格したい考えている受験生は、国家試験用の学習をする事が今の貴方には最優先なのです。
何かの専門家になることではありません。
知っていると便利な内容は、最低限度合格できる実力がついてから知りましょう。
知らないといけない内容がまだ多い、今の状態ではそれらから消化する必要があります。
先ずは教科書で基礎的な学習をして、過去問題を解答・解説を中心に読み、理解しながら分からない部分が出てきたら、その時は調べる参考文献として利用しましょう。

模擬試験は、どんどん受けよう

なぜ模擬試験を嫌うのか?

模擬試験が願いな人がいます。なぜでしょう?多分3つのことが考えられます。
 1 時間の無駄と思っている
 2 模擬試験の利用価値が分からない
 3 自分の実力を知るのが怖い
どれもナンセンスです。

 1の場合は、そうかもしれません。利用方法によっては無駄といえます。模擬試験とは、何のために利用するのでしょう?

私は3つくらい考えます。
 1 自分の今の実力をはかる
 2 過去問題ではない“新しい問題”に触れる
 3 試験の疑似体験をして、本番に対する慣れを形成するこれらが不要だと思われるのなら、受ける必要はありません。

 しかし過去問題集を解くだけでは、はっきり言って不十分です。しかも、時間制限もなくだらだら解いているのでしたら、さらに意味がありません。
この受験がはじめてという人は、数回受験している人よりさらに受験する価値はあります。少なくとも、200問のマークシートに記入する苦痛だけでも、予め味わっておいて欲しいものです。

模擬試験でしか貴方の現在の実力を知ることはできません

数回受験経験のある人でも、模擬試験は受験して欲しいです。なぜなら、過去問題は数回解いてしまうと問題自体を覚えてしまい、正確な解答数を得られない場合があるからです。

それに比べ、模擬試験の問題は今までに見たことが無いはずです。

初見の問題をどれだけ解けるか。これでしか貴方の現在の実力を知ることはできません。

また、試験会場は異様な察囲気があります。それだけでも緊張するのに、マークシートに記入するのは、かなり辛いものがあります。私もはじめのうちは、緊張して、上手く塗れませんでした。普段使わない、鉛筆を使用したもの悪かったと思います。

そのようなことに“慣れ”ることは、合格するために非常に大切なことです。

時間もお金も必要ですから限度はあります。しかし、受けると受けないでは差が出ることは、否めないと考えられます。

どの問題にも答え合わせは必要である

“問題”といえば、“過去問題”、“模擬試験の問題”、“教材に付いている問題”
など多くありますが、一番大切な“問題”といえば、“本試験の問題”です。
これは、最近多くの方からお話をいただいているのですが、「怖くて、答え合わせができません。」とか、「二度と見たくないので、答え合わせはしたくありません。」というものです。

現実を見つめて下さい

どんなに本試験の答え合わせを貴方が拒んでも、結果は同じです。
合格できているのでしたら良いですし、そうでない場合は、今のうちに答え合わせをして、今回の“問題”は理解しないと、次回の試験強の内容を1つ増やしてしまう
ことになります。
また、ほかの“問題”の場合は、答え合わせをしないと、自分が苦手としている部分が分からないので、解いている意味がありません。
“問題”を解くことも大切ですが、それ以上にその後の対応が大切なのです。
答え合わせをすると良いのには、まだ多くの訳があります。
何度か同じ“問題”を解いて答え合わせをすることで、自分の弱点を絞れることで学習の方向性を確認できることと、答え合わせをしながら学習ができるということです。
答え合わせをしていると、自然と「なぜ私は、ここを間違えたのだろう?」と思い、再び問題に目を通します。そして、「こういう質問には、こういう答え方をすればよいのか。」と感じるでしょう。これが大切なのです。
“答え方” にもコツがいるものです。上手な解説はそれだけを暗記しても非常に勉強になります。そして、それが載っている部分は“問題”ではなく、答え合わせで使う解答・解説なのです。
多分、問題を解くより答え合わせをするほうが時間がかかると思います。
それは答え合わせをしていると同時に、学習もしているのですから決して無駄な時間ではないのです。

あとがき

なぜ参考書や問題集は多いのに、管理栄養士国家試験の受験勉強の方法という本はないのでしょうか?答えは簡単です。
管理栄養士の国家試験を作成する人が、栄養士ではないからです。
管理栄養士の試験を受験したことがないと、絶対に分からないことがあります。それはここでは言い切れないくらい細かく多いものです。
実際に栄養士として業務をこなし、受験資格を得てから学習をして受験する。
この中には、栄養士養成施設では教えてくれなかったギャップが多くあります。しかも受験、強の方法は先生も知りません。独学が多い管理栄養士の試験勉強では、方向が間違っていても、「そこを進むと、間違っていますよ!」と注意してくれる親切な人もいませんし「これは大切です。あっこれは必要ありませんね。」というアドバイスもありません。皆が疑問や不安を抱きながら学習を進めていきます。
さらに、管理栄養士国家試験を受験するまでに国家試験の受験経験が無い人が多いのも合格率を下げる原因の1つではないかと私は感じています。
国家試験慣れしている人にとっては、合格基準が総合点 60%以上という試験は、難しいものではありません。しかし、そうでない人にとっては非常に難しく感じます。
人間誰でも、初めてのものは難しく感じるものです。
通常の勉強の方法なんて、個人差があって万人向けするものはないと思います。
しかし幸いなことに少なくとも国家試験の場合は、出題に方向性があるので、これを守りましょうと言い切れる、強方法のコツがあるのです。
料理では、“大腿な部分と繊細な部分を上手に使い分けることができる人ほど、すばらしい料理を作ることができる”といいます。これは、勉強でも同じことがいえます。
学習計画はできることと、できないことを明確にしたうえで、内容を綿密に練って、抜かりなく仕上げる。学習は効果的な方法を用い、大目に進める。要所では常に自分の位置を確認して、今の学習が正しいものなのかを見極める。正しいければそのまま学習を進め、そうでない場合は軌道修正して、改めて学習を進める。
このくり返しが、合格への効果的な学習方法といえます。
諦めず、誤らず、真剣に学習する人にはきっと結果が出ることでしょう。
最後に、この学習ガイドで今までの学習から抜け出し合格できる人が少しでも増えることを心より期待しています。

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