これからの管理栄養士に求められる勉強方法を身につけよう!
コロナ第二波で今まで以上に求められている
新型コロナが最初に広がった2020年、緊急事態宣言や外出自粛で、今までの管理栄養士、栄養士業務、パーソナルダイエット業務が出来ないくなってしまった。病院の院内であれ、保健所であれ、対面では難しくなってしまった。多くの病院やクリニックは、ネット化を考え始めました。そこで、まずは自分で手探りでやり始めようとした人。デザイン会社や代理店などの業者にお願いした人。その多くは医事方が様々な分野を学んでオンライン化を始めました。
その様な中で、ケアーが必要な人や健康の維持増進を求めている人たちが辿り着いたのは、医療という狭い世界でタラタラ働く医療従事者ではなく、真剣に患者や顧客のニーズに応えてくれる専門家でした。その専門家の中には、管理栄養士も含まれています。また、在宅ワークの普及がビジネス環境を変えてしまい以前ならなかったタイプの生活習慣由来の体調不良や疾病なども増えています。この様な事態に対応できる、公衆衛生の一次予防の科学と技術に熟知し、日常生活に関わる管理栄養士に注目が集まっています。そして、マーケットに長けた病院やクリニックは、仕事を任せられる管理栄養士を求め始めたのでした。
これがコロナによる管理栄養士需要の「第一波」だったのです。その後、管理栄養士の価値が高く評価されていると知った管理栄養士たちも、ネット化しようと思ったけれど何をやればいいかわからない人や、自分でネットを始めてみたもののうまくいかない人。仲間の管理栄養士と起業したが結局廃業した人。ネット広告業者にお願いしたけれど集客の成果がでない人。管理栄養士は、ビジネスの科目を学んでいないので、いきなり自分で独立開業をするのは無謀なことでした。
しかし、世間での管理栄養士の需要は全く衰えていません。この様な中でも管理栄養国家試験合格後、努力を怠ることなく患者や顧客のニーズに応えようとする人たちがいます。その人たちの年収は、¥1000万以上です。なぜなら、自由報酬だからです。あなたは、健康の維持増進のために、2時間で¥60,000-を支払えますか?
一見して、高額に見えるこのプライスも、事業者の立場からすると安いものなのです。
月に1回の場合でも、年間にしたら¥720,000-なのです。
この金額は、私が知る平均的な金額で、上には1時間あたり¥100,000-を請求しているベテランもいるのです。
会社経営などやプロスポーツ選手などは、健康や体調を悪化すると、何千万、何億という損失に見舞われることがあります。そこまでではない顧客でも、生活改善やスリムダウンに成功するだけパフォーマンスを高められるのです。
身近な例として、歯科矯正で歯並びを美しくするということを例にあげましょう。歯並びが悪いと、見た目が悪いので目の前の相手に不快にさせる心配があったり、歯並びが悪いから人前で話したくないとか、また歯のメンテナンスも簡単でないので虫歯や感染症、口臭など衛生面の心配もあります。しかし、大金と数年がかりの歯科矯正治療で、今後の将来は、多くの心配から解放され、自分に自信がもて、歯のことで悩むことはないでしょう。
特に自営業者や高額所得者の方は、生活習慣の管理を求めています。それは、健康と収入が関係していることを十分に理解しているからです。今年あたりから、医師ではなく管理栄養士に相談してくるようになりました。企業でも、産業医や保健師から学んでみたけれど、病気でもないため、生活に身近な専門家に頼んだ方が良さそうだと、管理栄養士に依頼する事例が最近増えています。これは管理栄養士需要の「第二波」で、これによって今まで以上に管理栄養士が求められているのです。
しかし、管理栄養士という資格を持っている人に需要が集まっている訳では全くありません。管理栄養士としての科学と技術を持ち合わせているという前提があるのです。つまり、国家試験合格とか資格の有無には全く価値がありません。
そこに求められているのは、患者や顧客が抱える心配事や問題を解決できる管理栄養士なのです。
もし、あなたの栄養士や管理栄養士の資格を宝の持ち腐れにしたくないなら方法があります。それは、正しい勉強方法を身につけることです。
効果的ではないと科学的根拠(エビデンス)がある学習は、早くやめろ!
繰り返し読む・再読は、効果的な学習ではない。
人間の脳は、忘れる様に出来ている。
管理栄養士の受験に限らず、あらゆる試験で、多くの人が試してみたが、努力した割にあまり効果がないとされている勉強方法を紹介します。
まず一つ目は、それは、「繰り返し読む・再読」です。皆さんも子どもの頃から、「教科書を繰り返し何度も読め」、「重要な箇所は10回読め」などです。この勉強法は、日本だけではなく世界的に同じような傾向で、アメリカの名門校の学生でも繰り返し読む勉強が上位の8割を占めているメジャーな勉強なのです。当然のことですが、一度だけ読んでテストに挑むよりも数回読んでテストに挑む方が高得点になるのは事実です。この「繰り返し読む」勉強法には、ある程度の効果は認められます。しかし、2度読んだ場合と4度読んだ場合の効果は、1度読んだ場合と2度読んだ場合の差に比べてあまり効果がありませんでした。
参考文献 Karpicke JD, Butler AC, Roediger HL. Metacognitive strategies in student learning: do students practise retrieval when they study on their own? Memory. 2009;17(4):471-479.
この他のも、新しい文献(Psychol Sci Public Interest. 2013 Jan;14(1):4-58.)によると、様々な勉強法の中で再読の総合評価は、「入手可能な証拠に基づき、再読の有用性は低いと評価する。」と発表されているのです。1度読んだ場合は、30%度読んだ場合
入手可能な証拠に基づくと
再読の有用性は低いと評価する。 100年余りの研究で、有用性が認められていない繰り返し読む・再読の勉強法をしていて効果が出ていないなら、他の方法に切り替えることをお勧めします。
人間の脳は、健康的な生活を送るため日々必要のないものは忘れて行くように出来ている。だから反復することは忘れないようにすることで、記憶に有効だとこれまで考えられていました。
では、なぜ繰り返し読む・再読は効果がないのでしょうか?
それは、その読むという行為自体が、インプットを中心とした学習方法だからです。
つまり、インプットには限界や頭打ちがあります。お経のように、ひたすら再読しても多くを身に付ける頃は難しい様です。
ただしかし、今回紹介した「再読の総合評価」で、再読を有用な勉強法に変えるポイントが書かれていました。
「再読が間隔をあけて行われる場合、再読の効果は少なくとも適度な遅れの間持続するようである。」というものですが、この間隔は人それぞれです。再読の勉強法をメインにするのではなく、アウトプット中心の勉強法をサポートする時に役に立つと、今回は説明して次に進めます。
ハイライト・線を引くのは、効果的な学習ではない。
蛍光ペンでハイライトすること。これは私も大好きです。赤や青などカラーボールペンで下線を引く行為は今も日常でしています。学生の頃、このハイライトをしたテキストやノートを見返すと妙に「勉強して賢くなった気分」になっていました。
ところが、同じく(Psychol Sci Public Interest. 2013 Jan;14(1):4-58.)で、ハイライトとアンダーラインの総合評価は、「入手可能な証拠に基づき、ハイライトとアンダーラインの有用性は低いと評価する。」というものでした。
また、文献:R.L. Fowler and A.S. Barker, “Effectiveness of highlighting for retention of text material,” Journal of Applied Psychology, 59, pp. 358-364 (1974).というものがあります。この中で、学生に文章を読んでもらいハイライトをするグループ、ハイライトをしないグループ、元から他の人がハイライトをしたものを読んだグループの3つのグループ分けてテストをしました。その結果には、テストの得点に差はなく、優位差が見つかりませんでした。ハイライトやアンダーラインをする勉強はこの実験でも効果測定上で優位差がないことが示されています。
入手可能な証拠に基づき
ハイライトとアンダーラインの有用性は低いと評価する。 私も、若い頃は様々な受験を経験し、ハイライトやアンダーラインをしていました。また、参考書や要点集など重要な語句や単語を朱色で印刷されていたり、下線が施されているものをたくさん利用しました。しかし、様々な国の多くの人々がハイライトやアンダーラインで強調したり、強調されたものを使って勉強してもテストで優位性を見出すことはないのです。
私が講師の仕事を20年近くしていますが、ハイライトやアンダーラインについて悪いという印象が実はありません。
それは、講師として受講生に対して、重要な文章や語句を強調したいので、「○○は、大切なので線を引いて下さい」ということが多いからです。そして、受講生もそうした方が、勉強するポイントを的確に掴めて有意義だと信じているからなのです。今でも私は、線を引くことは間違っていないと思うのですが、科学的根拠ではパフォーマンスを向上させることはないと結論づけられています。
この科学的根拠からわかることと、私が経験したことを合わせて考えると簡単に腑に落ちました。
受験生は、自分でハイライトやアンダーラインを引いてもパフォーマンスは上がらない。むしろ無駄な行為である。
受講生は、ハイライトやアンダーラインをしている書籍や要点集を使ってもパフォーマンスは上がらない。
受講生は、講師から指示があってハイライトやアンダーラインをすれば、パフォーマンスが上がる。
上記が、ハイライトの勉強法の結論です。
三つ目の講師ですが、ハイライトやアンダーラインで強調することが上手い(長けた)人であればという条件付きです。
もちろん、受講生でも強調することが講師同等以上に上手いのなら、パフォーマンスが上がるでしょう。
非効率かつ非効果的な勉強をしても、合格の先に進めない
闇雲に、繰り返し読む・再読勉強法とハイライト勉強法は、誤った勉強法であり、そこに努力を注ぎ込むのは無駄でしかありません。
誤った勉強方法で合格を掴んでも、その後に活かせる実務での勉強で、必ず壁にぶち当たります。
科学的根拠に逆らった勉強する人が、社会で通用する理由がありません。
管理栄養士になり、生き残りを賭けて夢を掴もうとするなら、正しい勉強の方法を身につけましょう。
多くの人が行なっていて、効果がない勉強方法は、もうやめましょう。
繰り返しになりますが、教科書や要点集を繰り返し読む・再読、ハイライトする勉強方法は、あまりお薦めしません。
そして、科学的見地から見ても、効果的な勉強法ではありません。
「効率的に勉強したい!」と思っている人は、必見
楽な勉強法はない。辛い勉強方法もない。
誰しも楽に、効率的に、短時間で学力を上げたいと考えていると思います。しかし、学問は客観的な事実として教えることはできても、学び方は主観的な感覚で自らの経験の中で身につけるものなのです。
料理に例えれば、カレーライスを作るという場合を想像してください。
学校で勉強するように、カレーの作り方は家庭や個人の好みで模範解答はありません。カレーの素、じゃがいも、にんじん、たまねぎ、お肉、etc…といった内容を学校で習わなくても、誰かが作っている背中を見て覚えたり、あるいは食べているうちにカレーの材料やその分量を理解し、いつしかカレーを作れるようになっているのではないでしょうか?
カレーが作れるのなら、クリームシチューや、肉じゃがなども作るのは難しくないでしょう。
では勉強法に戻りますが、人は分かり易い指導で、懇切丁寧にわかるまで教えてくれる先生や、読みやすく、色分けしたり図解や表を散りばめた教科書や参考書を選びたがります。今もまだ、良い先生や学習意欲が出る学習書、言い換えれば、学習は「インプット:入力」が重視されているのです。国家試験というのは、学校の勉強とは違い、合格後実務につながっているものです。カレーのレシピや作り方を学校や参考書で学ぶのと同じです。現実の社会では通用しないのです。「インプット:入力」重視の詰め込み教育、暗記教育がその代名詞です。これはこれで一定の効果はあったのですが、時代の変化には敵わないのです。
まあそれでも、分かり易い授業は今でも大切です。けして、インプットという、知識を与える指導は疎かにできません。なんだ、先ほどの考えと矛盾するじゃないかと思われるかもしれませんが、つまり、基本的な知識の指導は、やはり、分かり易く、丁寧な指導になります。
そこで考えていただきたいのは、基本的な教育を修了したみなさんは、この先の学習で、その内容の選択が大きな意味を持ってきます。カレーの勉強をするのではなく、自分でカレー作って食べるという選択をすることです。
管理栄養士の仕事は、患者さんや相談者さんと、H to H(ヒューマン トゥ ヒューマン)です。あなたが仕事上で行き詰まった時、その答えは受験参考書にはありません。受験勉強でも仕事の知識を深める場合も、インプット中心の学習には限界があるのです。
管理栄養士の仕事は、管理や相談という仕事が中心です。相手に対して分かり易く説明、解説するには、言葉の選択と組み立て、解説の順序などを必要とするため、インプットに比べ、アウトプットは脳がフル活動します。時に図を用いたり、絵で表したりとアウトプット能力を身につけることが大切です。
つまり、学習のアウトプットこそ、今の管理栄養士の教育界に必要な学習要素なのです。
効果的な勉強(学習)方法でアウトプットする。
科学的根拠がある勉強法はあります。
それは、「アクティブリコール」です。
この他にも、いくつかのアウトプットによる勉強法が存在します。そしてこれらを複数組み合わせることでさらに効果を高める方法などもあります。
これらの効果的な勉強方法については、後日別途にブログ、またはオンライン講座にて取り上げるようにします。
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